こころん

旧 りんごの小部屋

「ビジネスパーソンのための契約の教科書」

Amazon.co.jp: ビジネスパーソンのための契約の教科書 (文春新書 834): 福井 健策: 本

今週読んだ本はこれです。
僕は国際的な取引とは無縁の職場にいます。
仕事上「契約書」といえば交渉が9割方決まって
最後の「握手」みたいなもんです。
契約書はほとんど全て「ひな型」を用いているし
契約書を読む時はトラブルが発生したときです。

でもこれがどれほど恐ろしいものか、
本書を読んで「海外と取引してなくてよかった・・・」
と冷や汗をかいたのが本音です。

実は契約を巻くとき相手に「この条文を変えてくれ」
と云われたらどうしようと昔から思っていました。
ひな型は全ての顧客に使っていて、
うちの契約書はオーダーメイドじゃないです。
面倒なのである顧客にだけ「特別扱い」はしません。
「交渉」の中に「契約書の条項を詰める」という作業が
含まれていないので事実上条項を詰める時間はない。

経験がないので分からないけど
海外企業との「交渉」とは主として契約書の条項を
詰める時間なんでしょうね。
これって本当は必要な時間だと思います。

本書の中にはアカウント取得時に読まずに
「同意」している「利用規約」について
触れられていました。
読むと戦慄を覚えるような規約に
僕らは「同意」してしまっている・・・。

ちなみにここFC2の利用規約
実は初めて読みました。
本書でも取り上げられてる
著作権」「準拠法」「裁判管轄」に
関してはこんな規定になっています。

ユーザー保有の作成物
ユーザーは、本サービスを通じてアクセスできる情報及び作成される掲示板、ブログ、サイト等の空間内の全ての情報(以下「コンテンツ」といいます)上で生成されるユーザー自身の作成物について、著作権およびその他の権利を保持します。ユーザーが本サービスを通じて発生した作成物は、編集、翻訳、出版、実演、展示、プロモーション、配布する権利をFC2が無条件で利用できるものとします。この権利はFC2が本サービスの運営上の理由により必要不可欠のものであるとし、ユーザーはこれを承諾するものとします。
アップしたブログ記事や動画などの著作権はユーザー持ち。
ところがその編集・利用権を無条件でFC2が持ってるので
著作権はFC2も持ってるのも同然ですね。
FC2はユーザーがアップして人気が出たコンテンツを
無条件に商品化できるわけです。
でもそのコンテンツが誰かの著作権を侵害してたら・・・
ユーザーは、ユーザー自身が作成された本サービス上のコンテンツ(以下「ユーザーコンテンツ」といいます。)の内容について、あらゆる法的責任、損害賠償および訴訟費用について全責任をお持ちいただき、また、日本国および米国の法律、法令、条例に反するような内容はもちろん、他人への誹謗中傷、いやがらせ、他人の知的所有権の侵害、プライバシーの侵害、公序良俗に反する内容 が掲載されてしまった場合、すみやかに削除する管理義務を担っていただきます。FC2はユーザーコンテンツ上の内容を保証するものではなく、また利用者および第三者に対していかなる責任も負いません。
他者の著作権を侵害するブログや動画などをアップして
FC2が訴えられたりしたら、その訴訟費用や損害賠償の
全てをユーザーが負担する内容になっています。

そして恐るべき「準拠法」「裁判管轄」については
  • 本規約は、米国ネバダ州法が適用されるものとします。
  • 当サービスの利用から生じた一切の紛争やクレームについては米国ネバダ州において認知される仲裁手続きにより解決されるものとします。
  • 仲裁を経て解決されない紛争やクレームは裁判にて解決されるものとし、その場合、米国ネバダ地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所とします。
うわあああああああ。
FC2利用してる人でネバダ州法を知ってる人が
果たしてどれくらいいるか!
そしてそのネバダ州法で告訴されたら
ネバダ地方裁判所」に出廷しないといけない。

FC2には磐石な規約です。
僕らはこの規約に「同意」している。
どっぷり冷や汗が出てくる思いですね。


たとえ自分にどんなに不利な契約でも
「合意」した以上はそれに拘束される。
だから契約書はよく読んで、
明確で疑義のない内容とした上で
異議があれば合意してはならないし、
不利な条項を変える「交渉」をすべき。
その手間隙もビジネス上のコストである。

それが本書の主題です。
確かに仰るとおり。

それを「日本的商慣行」の場において、
或いは約款・規約のようにサービスを利用するなら
丸呑みするしかない状況において、
どのように貫くのか。

前者に対してはガチで契約内容を詰める
コストに見合う利益があるならやるべし。
後者に対してはそれでも規約を読むべきで
規約に異議を訴えるユーザーの動きを
サービス提供側も無視できない、とのことです。

まさしくそのとおりなんだけど・・・。
現実にはなかなか・・・ねぇ。

ときにFC2規約に異議を訴えるムーブメントが
盛り上がることなんてあるんだろうか(苦笑)。