こころん

旧 りんごの小部屋

なぜ円高になるのか

Amazon.co.jp: 弱い日本の強い円 (日経プレミアシリーズ): 佐々木 融: 本

本屋でふと手に取った書籍。
中身は大変興味深い内容でした。

僕の為替の知識は素人並だけど
平易な記述で分かり易かったです。

国力が強い国の通貨は強い。
雇用統計などの経済指標で相場が動く。
介入の効果。

どれも普段「?」と思っていたことです。

新鮮だった視点は次の2点。
1.
円高の原因は円高なのかドル安なのか分けるべし。
また円だけの高い安いだけじゃなくドル・ユーロ・ポンド等
複数の通貨の中での高い安いが大事だという視点。
2.
為替相場の参加者はそれぞれの事情があり
マクロ的な単純な動機で相場は説明できないという視点。
例えば「輸出でドルが溜まれば」淡々とドル→円転するし
「リスクテイクして投資しようと思えば」円→他通貨に替える。

日本は経常的な貿易黒字国で外貨がどんどん溜まるのだから
基本的に円に替える圧力が強い→円高基調というわけです。
景気が良くて諸外国に投資しようと思えば円→外貨で円安要因。
先行き不透明で円を手元に置こうと思えば外貨→円で円高要因。
円安にして輸出を伸ばそう!という論調は順序が逆のようです。

構造的な円高トレンドの前には介入が無力というのも合点です。
円売りドル買いするために市場から国債で調達した円で
ドルを買うのだから全体としてプラマイゼロであって、
円が「薄まる」わけじゃない。

ただインフレよりデフレを良しとする視点だけは不同意です。
通貨信任の番人である日銀らしい思想だとは思いますが。

確かに給料が変わらなければ物価↓購買力↑はいいかもしれない。
でもデフレは通貨価値議論の前に「不景気」で「先行き不透明」。

不景気なので売上は落ち会社はつぶれるので
「給料が同じなら」という前提は成り立たないです。
通貨価値の問題と労働分配率の問題は次元が違います。

また「先行き不透明」なので投資の為に金を借りて
将来デフレでより高くなる円を返すより
借金は返して手元の円を厚くする。
ゆえに経済はしぼんでいく・・・。

帳簿が適正でなければ会社の信用が落ちるけど
帳簿が綺麗でも清貧会社が潰れては元も子もないです。

その清濁度合いの調節こそ日銀の真骨頂だと思いますが
どうも日銀は清貧を良しとする思想が強いようですね。

そこだけは著者の主張と相容れないと感じました。